眠る盃

夢を見ていたかのような短い期間でした。
その町にもわずかな記憶の残滓が残っておりました。

その町で僕はまどろみ、友は僕を揺り起こす。
その町の焼き鳥の煙は香ばしく、煙草の煙とまじったそれは僕の服にこびりつく。
そんな香りの記憶は当時の僕には当然なかったけれども、ノスタルジィともいうべき思いが、つと胸に溢れた。

それもまた
夢をみていたかのような短い期間でした。