冷血(カポーティ)

読了。
前半のやや冗長気味な記述には少しげんなりとしたが、それを差しひいても丹念に取材をされた事が伺われる一冊だった。
裁判を行う辺りのくだりがとても興味深かった。
私見ではよく犯罪を(特に猟奇犯罪と呼ばれるものを)行った者が、逮捕された後で精神鑑定を行い、責任能力の有無を調べたりするけれど、僕らも含めて皆精神的には何らかの疾患を常に抱えているとも思うのだよね。
レベルの差とも言うのかもしれないけれど、その点がなんだか釈然としない。
とはいえ「自閉症裁判」にもあるように、一定の範囲を大きく逸脱していることが明らかな人にはやはり何かが必要ではあると思う。
それは本当は鑑定などではなくて、その症例なら症例に即した裁判の方法ということになるのだと思うけど。
とはいえ、これは裁判で人を裁くことがその犯罪者がその罪に服すことで悔い改めることが目的の場合によるのだと思う。だからその判決で他の犯罪予備軍への見せしめということを主眼においているならそれは考慮する必要はないと思う。
とはいえ、見せしめのための処罰はいつまでもそんなに機能しないと思うけれど。