ミスター・ヴァーディゴ

読了。
オースターは素晴らしい。
後半ややはしょっている印象も持つが、しかしそれはその作品のながいエピローグなのだと思う。
師匠が死んだ時点でそれはもう終ったのだ。
しかしその長いエピローグがあるからこそ、この作品は一つの結晶となる。

「何が入っていたの?」
「あんたは知ってると思ってたけれど」
「何だかんだで訊きそびれちゃって」
「地球儀よ。あの人、地球儀をくれたの」
「地球儀?そんなのどこが特別なわけ?」
「プレゼントじゃないのよ、特別なのは。添えてあったメモよ」
「それも見なかったよ、俺」
「たった一センテンス、それだけ。君がどこにいようと、僕は君と共にいる。その言葉を読んでもう駄目だった。あたしにはこの世で一人の男しかいない。その男と一緒にいられないんなら、代用品や安物の模造品なんか相手にしたって意味ないって思ったのよ」

ちなみに一番面白かったのはオナニーを覚え始めた主人公の思いのたけの記述w

「会いたいと思えば、どこでも会えると」(ブエノスアイレス<Happy Together>)